ダンナは今介護度4
倒れた時はずっと寝たきりだったから
介護度5だった
それから老健に入って介護度3になり、
今は介護度4
確か来年は、介護認定があると思うけど
このまま介護度は維持のままかな
今寝たきりじゃないし、
さすがに5にはならないだろうよ
でも、3になるにはあまりにも
体が固まってしまってる
いつもいつも思っている疑問
なんでリハビリ病院は決められた年月しか
いられないのだろう
それ以上入院していてももう
回復出来ないからでしょ？
勝手にそう決めてるけど、そんなこと
わからないじゃん
個人個人違うんじゃないの？
みんな人括りにしてるけどそんなの
おかしいよ
家族からしてみたら納得いかないんだよ
あの時もっとリハビリしていたら、とか
今でも思うときはあるよ
今さらもう遅いんだけどさ
ダンナは失行もある
ある特定の作業だけしかできない人も
いるんだろうけど、
ダンナはすべての機能が失行してる
言語失行もひどい
言葉の基本的なまとまりを作ることが
出来ない
だから話せない
ダンナに鉛筆を持たせると、
意味不明な絵を書き始める
どうやらそんな景色を見てるみたい
半空間無視だし・・
ダンナの見てる景色と、
あたしらの見てる景色とは明らかに
違うだろう
色彩も違うはず
どんな〃色〃の景色を見てるのか知りたいよ
なんで施設にSTさんはいないんだろう
いてもそれは誤嚥防止のためでしょ？
失語のためじゃないよね
でも現に失語の人は
世の中にたくさんいるよ
どうしてなんだろう
この５年以上、ずっと考えてきたことを
ここにきてもう一度考えてみてる
納得いかないことばかりだったことを
もう一度考えてみてる
当時、納得のいかなさに
ススと泣いたよ
歯がゆさに泣いたよ
リハビリ病院で、
〃家族なら奇跡を起こせますよ〃と
PTさんに言われた
それってどういうこと？
意味的にはわかるんだけど、
それって
あまりにも無責任な言葉じゃないの？
奇跡なんて起こせないよ
無理でしょ？
あたしらだって、やるだけのことは
やったよ
やったつもり❗
麻痺は改善出来なくても、
家族ならなんとか言葉を引き出せるかなと
思ったから
ほぼ毎日、ダンナのところに行って
話しかけたり、写真見せたりしたよ
いろいろ散歩にも連れ出した
でもどうにもならなかった
ダンナは記憶が持たないから、
やるだけやっても一日過ぎたら
また振りだしに戻ってしまう
そしてこちらはまた一からはじめることに
なるんだよ
そんなこと、何回繰り返してきたことか・・
さすがにこちらも体力、気力とも
ヘトヘトになってしまった
ダンナの妹は、
〃死んじゃえばよかったのよね〃と
あっさり言った
それはそうかもしれないよ
そしたらあたしらも、ダンナも
苦しまないですんだかもしれないよね
でもあなたに言われたくはないわ
その言葉、あなたがいうべき言葉じゃない
請求書と共に、
毎月の報告が施設から届く
その中に書かれている、
〃完全歩行不可能〃、〃脚の浮腫あり〃
とか書かれている文字が辛い
脚の浮腫がひどくて
靴も入らない解きがある
そんな文字を見るたびに心が塞がれる
どうしたらいいんだろ
今はすべてコロナという狂気に
オブラートで包まれているけど、
オンライン面会でほとんど顔しか
見てないから
こちらの精神が保たれてるんだろうけど、
いずれ面会に行けるようになったときに
ダンナの姿をみて
すべてが白日の元にさらけ出されて
もっと激しく落ち込むんだろうな
それに耐えうる力が、あたしらに
あるのだろうか
どうか、今あたしらにかかっている、
この〃マジック〃が消えないでほしい
あたしらの心の逃げ場が
どうか無くなりませんように!
